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患者情報の漏えい対策をどのように講じればよいか

医療機関でみられる人事労務Q&A

Q 先日、来院した患者がある芸能人の家族の方で、それを知った職員が知人等に言い触らしているようです。患者のプライバシーに関わることであるため、事実であれば、何らかの制裁処分は検討しますが、今後の対策をどうすればよいのか悩んでいます。

A 物理的な対策は当然のこととして、情報管理に関する誓約書の定期的な提出、守秘義務に関する教育の実施といった取組は行うべきでしょう。

詳細解説

医療人であれば、患者の症状や来院履歴等の情報は、大切に扱わなければならないものです。情報漏えいによって医療機関の対外的な信用が失墜することもありますので、由々しき行為と捉えなければなりません。通常、医療機関には個人情報保護法を遵守する旨が廊下等に掲示されていますが、残念ながらカタチだけに留まり、職員にその内容が理解されず、今回のようなケースが散見される現状があります。

こうした問題に対して、採用時に情報管理に関する誓約書を提出させているから問題ないと考えている医療機関がありますが、誓約書を提出させることのみで医療機関としての責任が免れるわけではありません。実際に情報が漏えいすれば、謝罪や賠償はもちろんのこと、信頼回復には相当の年月を要する可能性もあります。

その他、患者離れという経営上の問題に直結することもあるため、常日頃からの対策が、当然必要になります。また、誓約書の中身については、抽象的な表現を用いて、かつ難解な用語が連なっているようでは、職員はその誓約書が何を意味するのか分からないということも十分に考えられますので、対策としては不十分です。

そもそも、職員の就労に伴う秘密保持義務については、美濃窯業事件(名古屋地判・S61.9.29)などの裁判例においても、雇用契約に付随して秘密保持契約も当然負うべきものと判示されていますが、情報を漏えいさせないためには、まずは誓約書の内容を職員にとっても理解ができるものに改定すべきです。

そして、誓約書で網羅できない内容を、別途守秘義務に関するルールとして定めて配布する等の取組は是非行いたいところです。さらに、職員に常に緊張感を持ってもらうために、その誓約書を採用時だけではなく数年おきに、アルバイトやパートタイマー等も含めた全職員に提出してもらうことも検討すべきでしょう。

また、守秘義務に関する教育を全職員に対して実施することは、職員の情報管理に対する意識が高まるため、情報漏えいを防ぐには有効です。情報管理の責任者が中心となって内部研修を実施し、参加できない職員のために動画撮影を行うこともよいでしょう。

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