求人の際に行ってはいけない年齢と性別による差別
医療機関でみられる人事労務Q&A
Q退職者の補充のため、求人を行おうと思うのですが、求人の際、求人票に表記してはいけない事項があることを聞きました。どのような点に気をつければよいのでしょうか。
A求人の際には様々な注意点がありますが、まずは年齢及び性別による差別は厳禁です。これらに違反した求人を行った場合は、求人票がハローワークに受理されないばかりか、罰則が適用される可能性もあります。
詳細解説
職員を採用するにあたり、医院には採用の自由が認められています。選択の範囲が広いことによるミスマッチを起こさないためにも、求人票には希望する人材イメージをできるだけ具体的に記載しておくことが望まれます。しかし、不当な差別に繋がらないよう、求人や選考において、年齢を制限する、特定の性別に限る、といったことが禁止されています。
1.年齢制限の禁止
職員の募集・採用においては、雇用対策法第10条により原則として年齢を不問としなければなりません。ただし、例外的に認められる場合もあり、そのうちの2つを挙げると、以下のようなものがあります。
●定年年齢を上限とし、その定年年齢未満とする場合[例:定年が60歳で、60歳未満を募集]
●長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者(おおむね40歳未満とされています)とする場合
[例:新卒者や長期勤続のキャリア形成を図ることを理由として、40歳未満とする]
2.性別による差別の禁止
男女雇用機会均等法第5条には、原則として性別にかかわりなく募集・採用について均等な機会を与えなければならないことが定められています。さらに厚生労働省が示す指針(平成27年11月30日厚生労働省告示第458号)には、性別を理由とする差別として、以下の禁止事項が具体的に示されています。
●募集や採用の対象を男女のいずれかのみとすること
●募集や採用にあたって、男女で異なる条件とすること
●選考において、能力や資質の有無を判断する際に、男女で異なる方法や基準とすること
●募集や採用にあたって男女のいずれかを優先すること
●求人の内容の説明をはじめ、募集や採用に関する情報提供について、男女で異なる取扱いをすること
近年はインターネットの普及により、法的な問題だけでなく、SNSなどを通じて悪い噂などが拡散しやすいことにも注意が必要です。求人を行う際の注意点を確認し、不用意な対応をしないようにしましょう。